最終更新日:2022-03-17
小型トラックは普通免許でも運転できる?
トラック運転手の仕事を始めようと思う時に、持っている免許では運転できないことに、不安に思われることもあるでしょう。
大きなトラックを動かすとなると、それに見合った免許が必要となっており、そのためにはもう一度教習所で免許の取得を目指す必要があります。
しかし、トラックの中でも「小型トラック」に分類されるものであれば、今ある免許で仕事に就ける可能性があります。
小型トラックに関する情報を大まかにまとめると以下のようになります。
・小型トラックに分類されるトラックは普通免許を持っていれば必ず運転できる
・小型トラックの運転は乗用車より少し大きいという意識が必要
・小型トラックを使う仕事の需要は高い
・小型トラックの運転は乗用車より少し大きいという意識が必要
・小型トラックを使う仕事の需要は高い
これらの項目を含めて小型トラックに関する情報を確認していきましょう。
【目次】
1.業界における小型トラックとは?
1-1.普通免許で運転できる小型トラック
1-2.小型トラック自体の種類
2.小型トラックの運転は乗用車とどう違うのか?
2-1.基本的な運転は乗用車と同じ
2-2.運転席がやや高くなる
2-3.車体が少し大きくなる
2-4.荷物を運送するための運転が必要になる
2-5.ルームミラーが使えない場面がある
3.小型トラックを運転するコツは?
3-1.安全確認を怠らないようにする
3-2.車両感覚を意識した運転をする
3-3.丁寧な動作を心がける
3-4.バック時のコツ
4.小型トラックの使う仕事の需要はあるのか?
4-1.本当に普通免許だけでトラック仕事ができるのか?
4-2.人手不足と若手の育成による需要
5.小型トラックの運転のコツについてのまとめ
業界における小型トラックとは?
トラックと聞くと、箱型の荷台が付いた大きめの車体を想像する人もいるかもしれません。
しかしトラックは、おおまかに分けて大中小の3つの大きさに分かれており、この中で小型トラックについては普通免許でも運転できるトラックとなります。
ますは小型トラックと普通免許の要項と小型トラックの種類を見ていきましょう。
普通免許で運転できる小型トラック
トラックの大きさの分類は、荷物を積んだトラックの全体の重さである「車両総重量」と、積める荷物の重さである「最大積載量」によって分けられています。
小型トラックは、車両総重量が3トン以下かつ最大積載量が2トン未満のトラックのことを指しています。
そして車の運転免許も、車両総重量と最大積載量を基準に、運転できる車の大きさが決まっています。
現在取得できる普通(運転)免許では、車両総重量が3.5トン未満かつ最大積載量が2トン未満の車両を運転できるので、どちらも小型トラックの条件に当てはまるのです。
更に普通免許は取得したタイミングによって、小型トラックの基準よりも大きなトラックを運転できる可能性があります。
2007年6月2日から2017年3月11日の間の普通免許は「準中型(5t)限定免許」として、2007年6月1日以前の普通免許で、こちらは「中型(8t)限定免許」として使えるのです。
最初の普通免許を含めて見ると以下の基準になります。
・普通免許(2017年3月12日以降)……車両総重量が3.5トン未満かつ最大積載量が2トン未満の車両
・準中型(5t)限定免許……車両総重量が5トン未満かつ最大積載量が3トン未満の車両
・中型(8t)限定免許……車両総重量が8トン未満かつ最大積載量が5トン未満の車両
・準中型(5t)限定免許……車両総重量が5トン未満かつ最大積載量が3トン未満の車両
・中型(8t)限定免許……車両総重量が8トン未満かつ最大積載量が5トン未満の車両
どちらも中型トラックの全てを運転できるわけではありませんが、小型トラックであれば必ず運転できる条件です。
このことから年齢が18歳以上になって普通免許を取得できた人は、条件に当てはまる小型トラックを運転できます。
【関連ページ】 2トントラックの運転に必要な免許とは 普通免許で運転可能?
小型トラック自体の種類
大きさで分けられた小型トラックですが、小型トラック自体にもいくつか種類が存在します。
小型トラックは全長と全幅を基準にしてショート、ロング、ロングワイドの3種類に分けられます。
それぞれの基準は以下の通りです。
・ショート……全長4.7m以内、全幅1.7m以内
・ロング……全長6.0m以内、全幅1.9m以内
・ロングワイド……全長6.0m、全幅2.1m以内
・ロング……全長6.0m以内、全幅1.9m以内
・ロングワイド……全長6.0m、全幅2.1m以内
ショートは車体がそれほど大きくないため、狭い路地なども通りやすいので、運転の難易度も低めです。
ロングとロングワイドは車体が大きくなった分、積める荷物も大きいものに対応できるため、用途別で使い分けられています。
これらは大きさこそ変わっていますが、全体としての車両総重量や最大積載量は小型トラックの範囲内に収まっているため、普通免許でも問題なく運転できます。
この他にも荷台に屋根がない平ボディと箱型の荷台のバンボディのように形や装備品自体は、他の大きさのトラックとほとんど変わりないものです。
トラック会社や販売メーカーも先の基準に沿って小型トラックを用意しているので、見た目では大きく見えても基準に則していれば小型トラックとなります。
小型トラックの運転は乗用車とどう違うのか?
普通免許で運転できる小型トラックですが、実際の運転では乗用車と同じところと、そうでないところがあります。
スムーズに運転していくためにも、同じ部分と違う部分をしっかり覚えておきましょう。
基本的な運転は乗用車と同じ
小型トラックの運転となると、身構えてしまうところもありますが、普通免許で運転できることから基本的な運転は乗用車と同じものになります。
中型以上のトラックではMTが主流であり、普通自動車でAT限定免許の人は、まず限定解除から始めないといけないという大きなハードルがあります。
一方小型トラックは、近年AT車も増えてきており、仕事によっては限定解除しなくとも働けるので、その点でも普通免許のみで対応出来るメリットがあります。
ただ、最大積載量をフルに使うような重量物を運ぶ仕事では、やはり機動力の高いMT車でないといけない場面が多く、未だに使い続けています。
しかし、この場合もMTを含む普通免許であれば、教習所で習った範囲内の操作で小型トラックを動かせるものです。
その他にも基本的な安全意識は同じですが、次以降で紹介する点を加えて考えなければいけません。
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運転席がやや高くなる
小型トラックは構造上乗用車よりも座席がやや高い位置になるものです。
中型以上のトラックのように2倍近く高さがあがることはありませんが、最大で1.5倍ほど座席の高さが違う小型トラックにもあります。
座席の高さが違うと感覚が変わることは、大型の乗用車でも感じられる現象ですが、1.5倍となるとそれはより顕著に表れます。
高い目線は視野が広くなり、少し先の様子も窺えるようになる一方で、スピードが遅く感じられ、車間距離が遠めに見える可能性があるものです。
小型トラックの場合は種類にもよるので、極端に変わることはありませんが、微々たる変化でも運転に影響する点は注意したいところです。
車体が少し大きくなる
小型トラックは見た目だけでは大型の乗用車と変わらないサイズのものもありますが、トラックとして製造されている分、やはり全体的には乗用車よりも大きいものとなっています。
特に気を付けなければならないのは縦の高さで、バンボディは運転席の高さよりも荷台の箱が高くなることから、トンネルの高さ制限や思わぬ障害物に当たる可能性があります。
またロングやワイドロングであれば、全長が長くなることで、カーブや右左折時に運転が乗用車以上の内輪差が発生し、巻き込み事故のリスクが上がります。
道幅についても大型の乗用車で慣れていても、小型トラックではまた違った車幅の把握と動かす感覚が必要になるので、細い路地では慎重な運転が求められます。
荷物を運送するための運転が必要になる
日常で乗用車に荷物を乗せるとしても、買い物したものがそれほど大きなものになる可能性は低く、人を乗せるにしても4人以上となると機会は少ない人も多いと思います。
しかし、小型トラックを用いる場合はある程度の重さがある物や複数の荷物を運ぶ可能性が高くなり、その分トラック全体の重さも増します。
全体が重くなると小型トラック自体の動きも重くなり、ハンドル捌きも少しだけ難しくなります。
また、荷物を乗せた状態で猛スピードを出したり、急停車したりすると荷物が大きく動いて荷崩れを起こしたり、破損させたりしてしまう可能性もあります。
この他にも、車体が大きいことで風を受けやすいことから、荷物に影響してしまうこともあるなど、小型トラックでは荷物を意識した運転が必要になるのです。
荷物が勝手に動くことは、荷台への積み方や固定の仕方を工夫して対策は可能ですが、それ以上に自分が仕事で運ぶ物への配慮が重要です。
ルームミラーが使えない場面がある
車をバックさせる場合は窓からの目視やルームミラーの後方確認で、白線や障害物等を見て動かしていくものです。
しかし、小型トラックではバンボディや平ボディに何らかの荷物を積んでいると、ルームミラーで後方が見えない状態になります。
バック駐車以外にも右左折や車線変更でもルームミラーに目を通すタイミングはあることからルームミラーが使えないことは大きな違いです。
これ以外にも車体の大きさから乗用車で見えていた範囲が見えなくなる「死角」が発生するので、そこを頭に入れた運転や駐車をしていくことが求められます。
小型トラックを運転するコツは?
小型トラックは基本的な運転部分は乗用車と同じですが、細かな違いがありました。
それでは、そんな細かな違いで事故を起こさないような運転のコツはあるのでしょうか?
安全確認を怠らないようにする
基本的な運転が同じであれば、事故を起こさないための運転の心構えとして、安全確認を怠らないことが運転のコツとなります。
これは乗用車でも意識すべきことではありますが、乗用車以上に巻き込み事故や荷崩れの可能性がある小型トラックでは、より意識して行うべきものです。
曲がり角に差し掛かる前に周辺の通行人を確認したり、駐車時にぶつけてしまう可能性のある物がないか確認したり、事故を未然に防ぐための行動は多々あります。
死角が発生してしまう分運転の最中だけでなく、行動の前後での安全確認を徹底することで事故を防ぎ、余裕を持った運転ができます。
車両感覚を意識した運転をする
乗用車との違いでも見たように小型トラックは「小型」と付いていても、乗用車と比べると大きな車を動かしていることになります。
この大きな車を動かしているという感覚は非常に大事なもので、常に意識することが安全う点のコツです。
車体の大きな車が他の乗用車に迫ることで感じる圧迫感をわかっていれば、車間距離を空けたり、車線変更も十分な間隔を開けてから行ったりできます。
横転した時のリスクや高さ制限なども大きさがわかっていれば、スピードを抑えることや事前の経路確認で避けることも考えられるようになるものです。
小型トラックの運転時は小型トラック用の車両感覚で運転していくと、あらゆる面で安全な運転になります。
丁寧な動作を心がける
小型トラックで事故や荷崩れが発生する原因の一つに急な動作があります。
急停止や急発進は荷物が大きく動かしてしまい、周辺車両が突然の行動に運転を誤って衝突事故を起こす可能性があります。
急にスピードを上げることは停止時に急停止してしまう可能性を高めるだけでなく、横風の影響も受けやすくなるものです。
このように急な動作が引き金となるリスクが多いことから、運転時の行動を全て丁寧に行うことが良い運転となるコツです。
急な動作はトラック運転手が抱えがちな腰痛にも影響があるので、自分の身体を守るためにも丁寧な動作をしていきましょう。
バック時のコツ
小型トラックで最も運転で難しいのは、ルームミラーが使えない状態のバックです。
元々乗用車でもバックが苦手な人が一定数いますが、何度もやっていくと慣れていくので時間が解決する部分ではあります。
小型トラックの場合も同様ですが、慣れるまでの間に心がけるコツは、上記の安全の確認や丁寧な動作が重要です。
駐車や車庫入れの前に、トラックから降りて障害物を把握する一手間を入れるのも良い方法です。
またゆっくりとした動作を心がけると、ミスをしかけても修正が効かせられます。
車内ではサイドミラーは使えるので、目視と共に確認しつつ、小型トラックでのバックの感覚に慣れていきましょう。
小型トラックの使う仕事の需要はあるのか?
意識する点やコツがわかったところで、実際に小型トラックの運転手を目指そうという人は仕事の需要がどれくらいあるのか気になると思います。
結論から言うと、小型トラックでも十分に仕事ができるものであり、むしろその需要は高くなっています。
本当に普通免許だけでトラック仕事ができるのか?
会社の募集要項で小型トラックを扱う条件が書いてあった時、本当に普通免許だけで大丈夫なのかと考えてしまうかもしれません。
しかし、会社側が小型トラックという条件を出している求人の場合、普通免許さえ持っていれば何も心配する必要はありません。
中型以上の免許は、取得の条件に年齢(中型は20歳、大型は21歳以上)と普通免許を取得してから年数の経過(中型は2年、大型は3年)が必要です。
この条件から、中型以上の免許はすぐに用意できないもので、人を選ぶ免許となっています。
そして会社側が求める最大積載量が、小型トラックの範囲で済むのであれば、わざわざ中型以上まで広げて募集するのは採用の窓口を減らす行為となってしまいます。
そのため、会社の募集要項で小型トラックと書かれているときは、普通免許以上の条件を求めることはほとんどないと言えるのです。
気を付けるべきなのはAT限定でも可能かという項目で、こちらもMT車を扱うと書いてある場合は、その条件が絶対的なものになります。
もちろん、AT車の小型トラックを扱う会社もあるのですが、面接の直前までATかMTを把握できずにいると、時間が無駄になってしまうので、絶対に確認しておきましょう。
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人手不足と若手の育成による需要
トラックの運営会社が採用の窓口を減らしたくない理由の一つとして、トラック業界全体の人手不足があります。
その現状から、小型トラックでも働き口は数多くあり、未経験でも採用されやすい状態で、需要は非常に高くなっています。
そして就職・転職する人の立場からも、普通免許は取得条件的に18歳以上という年齢の条件だけで取得できるようになっており、就職に際して取得する人も多いので、敷居が低いのも魅力です。
小型トラックであれば、新たに免許取得する費用もいらず、中型以上のトラックで扱うような極端な重量物はあまりないため、体力的にも合わせやすい可能性も上がります。
また、会社側が中型以上の免許を求める場合でも、最初は小型トラックの仕事として採用して、後から中型以上の免許を取得して貰うパターンがあります。
その場合は、免許費用を会社側が負担していることが多く、スタートからトラック運転手として働きつつ、自然にスキルアップが見込めます。
働き手や若い人材を募集しているトラック業界だからこそ、手厚くサポートして貰える可能性もあるので、募集要項では就職後のステップアップについても確認しましょう。
小型トラックの運転のコツについてのまとめ
最後に小型トラックに関する情報をもう一度まとめていきます。
・小型トラックは、車両総重量と最大積載量で分類されているので、車幅や全長、形状が違ってもその範囲内なら普通免許で必ず運転できる
・小型トラックは車体の大きさや座席の高さなどが乗用車より少し大きいことから、動かす際に大きさ意識して、急な動作を避けることが運転のコツとなる
・小型トラックでも働き口は多くあり、トラック業界全体の需要から未経験の人でも採用されやすい状態で需要は高い
・小型トラックは車体の大きさや座席の高さなどが乗用車より少し大きいことから、動かす際に大きさ意識して、急な動作を避けることが運転のコツとなる
・小型トラックでも働き口は多くあり、トラック業界全体の需要から未経験の人でも採用されやすい状態で需要は高い
小型トラックはトラックでありながらも普通免許で運転できる魅力があるものの、運転時にはトラックを動かしている意識が必要となる車両です。
そして、小型トラックの運転手の需要も高く、会社によっては中型以上の免許のサポートを受けられる可能性があります。
トラック運転手を目指す際に、どうしても中型以上のトラックを運転したいわけではないのなら小型トラックの運転手としてスタートするのも一つの手段です。
ここまでの内容を参考に、就職・転職を検討してみてはいかがでしょうか?
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この記事の執筆・監修
トラQ編集部 佐藤 哲津斗
運営会社、株式会社しごとウェブの代表。運送業界に貢献できるようにトラQを運営しています。
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