先導車・誘導車のドライバーに就職できる条件は

広めの公道を走っている時に、大型車両とその前後で緑のランプを付けた車両を見たことがあるでしょうか？

この前後の車両は誘導車もしくは先導車と呼ばれる車両で、その名前の通り大型車両の先導・誘導のために使われています。

そしてこの先導車・誘導車のドライバーは、中型・大型トラックのドライバーをしていた人にとっては、すぐに経験や知識を活かせる仕事になっています。

そんな先導車・誘導車のドライバーについては以下のようにまとめられます。



今回はこれらの話題を中心に、先導車・誘導車のドライバーに関する情報を紹介していきます。

先導車・誘導車は普通に生活している中では聞かない単語で、実際に見かける頻度もそれほど高いわけではありません。

それでもテレビやネット上の映像では流れることもあり、意識せず先導車・誘導車を見ている可能性はあります。

そんな先導車・誘導車を運転するドライバーがどんな仕事であるか見ていきましょう。


先導車・誘導車とは、道路法や車両制限令で定められた数値を越える特殊車両が公道を通る際に、特殊車両の前後について誘導や目印となる車両のことです。

特殊車両は大型の変圧器や電車の車体などの超大型の荷物を乗せた特殊トレーラー、一部のラフテレーンクレーンなどの超重量のクレーン車などが主な車両になります。

これらの特殊車両は目的地まで荷物を運送するための移動に整備された公道を走る必要がありますが、車両の運転席の見通しが悪く、死角も数多く存在するものです。

特にカーブや右左折時の曲線は、特殊な構造から普通の車両のように運転席で見える情報だけでは安全に曲がれないこともあります。

また、橋やトンネルなどの高さ制限のある場所も運転席からでは上手く通れているか判断がつきません。

そんな時、前方にいる先導車・誘導車があれば道順がわかりやすくなり、後方にいる先導車・誘導車によって周りへの影響がないか確認できます。

そして、先導車・誘導車が前後にいることで、他の車両も特殊車両本体には近づかなくて済み、先導車・誘導車がいる範囲には入ってはいけない目印にもなります。


上記の先導車・誘導車の役割からドライバーは前後のどちらかに付いて目的地まで運転していくことが主な仕事となります。

基本的には前後1台ずつ計2台を使いますが、車両の大きさによっては特殊車両1台につき最大で4台までつけることもあります。

走行時は安全な確保や、積んでいる荷物のバランスの見ながらの走行になるので、非常に緩やかな速度で運転していくものです。

また、前後2台と特殊車両は業務無線を用いて、安全やバランスに関する連絡を取り合いながら走っていきます。

特殊車両が物流系の車両である場合は、目的地に到着後に先導車・誘導車のドライバーも積み降ろし作業に協力することもあります。


巨大な車両を先導していくことから先導車・誘導車のドライバーは長距離の運転になると思うかもしれませんが、実際は特殊車両の種類によって変わってきます。

短距離であっても一定の特殊車両が公道を通る限りは先導車・誘導車が必要となるため、移動距離が限定されることはないのです。

また、先に項目でも書いたように誘導時はゆるやかな運転をしていくので、どの距離であっても必然的に時間はかかるものです。

そのため、長距離の場合は途中から先導車・誘導車を交代していくパターンもあります。

勤務時間は一般的な仕事と同じ朝から夕方の場合や、上記のように交代が必要な場合や交通量が少ない時間帯を狙うため、深夜から朝方にかけての仕事になることもあります。

先導車・誘導車専門の企業もあるので、外部からの要望を受ける場合は勤務時間帯も外部側の都合に合わせていくことになります。

特殊車両を誘導するという仕事は、一見すると専門的な仕事であるように思えますが、実際は多くの人が働ける内容の仕事となっています。

そして働ける中でも、中型・大型トラックのドライバーだった人は、最初から有利となる部分があります。

先導車・誘導車のドライバーの運転に関わる項目について見ていきましょう。


先導車・誘導車は専用車両ではなく、一般的な乗用車やトラックが用いられるものです。

一般的な車両との違いは、パトカーのように車両のどこかに緑の回転灯(ランプ)が付いていることで、その他にも先導車・誘導車と書かれた看板やステッカーなどが付いています。

先導車・誘導車の装備には道路法などの法律で明確な規定が定められていませんが、上記の緑のランプや一目見て先導車・誘導車とわかるものになっています。

乗用車とトラックでは、先導のみを目的するのであれば、乗用車の方が運転しやすいこともあり、全体的に見ても使われる数も多いのです。

トラックが先導車・誘導車として使われるのは到着後の作業に必要な荷物がある場合で、大きさとしては小型トラックが多くを締めます。

あくまで主目的は誘導になるので、先導車・誘導車は運転しやすい車両の方が優先されます。


必要な車両からわかる通り、先導車・誘導車のドライバーは普通免許があれば問題ない仕事になっています。

車種もAT車が使われやすく、AT限定でも構わないというのは多くの人が始めやすい条件です。

一方で、運転に直接使うわけではありませんが、中型・大型免許を取得していて、その免許が必要なトラックを運転したことがある人は優遇される可能性があります。

その理由は特殊車両の運転感覚が中型・大型トラックに近い部分があり、誘導の際の無線連絡でもその部分を考慮して情報が伝えられるからです。

この視点は先導車・誘導車のドライバーとして働いていけば身に付くものではありますが、最初から近い感覚を持っていることは、会社側もありがたいと感じる傾向があります。


全ての会社が出しているわけではありませんが、免許とは別に1年以上の運転経験を要する場合があります。

先導車・誘導車は乗用車が多いですが、普通免許を取り立ての人は運転経験自体が少ないので、その点は会社側も提示することがある条件です。

取得してからの年数ではなく、運転経験なのでペーパードライバーであると条件に当てはまらなくなります。

ただ、運転が上手ければいけないという条件ではないので、週に1回は運転するなど定期的な運転をしている人であれば、それほど難しい条件ではありません。

安全運転ができる人であれば運転経験を問わない会社もありますが、免許を取り立ての人は自分の運転技術を考えつつ就職していくか検討していくことをおすすめします。

先導車・誘導車のドライバーは滅多に聞かない職業であるため、実際の募集や就職している人の傾向は気になるところだと思います。

結論から言うと、就職サイトで検索すれば出てくるものですが、他のドライバーと比べると違う点がいくつかあるので、そこを見ておきましょう。


近年の先導車・誘導車のドライバーは一定の頻度で募集されていますが、他のドライバー募集と比べると件数はそれほど多くはないです。

先導車・誘導車のドライバーは特殊車両がなければ成り立たない仕事であり、急激に仕事の件数が増えることはないという傾向は変わらないでしょう。

募集しているのは運輸株式会社や建築会社で、ドライバー単体で募集していることや、総合的な募集の中でドライバーも募集していることもあります。

就業形態は正社員、契約社員、アルバイト・パートと様々であり、正社員登用や昇給の条件が付いている会社もあります。

ただし、契約社員やアルバイト・パートの募集の時は、期間限定の仕事で募集されていることもあるので注意が必要です。

超重量のクレーン車は作業が終われば使われない期間が出てくることもあるため、それに合わせた臨時的な募集になることもあるのです。

継続勤務を目指す人は、なるべく正社員や正社員登用制度のある先導車・誘導車のドライバーの募集を探していきましょう。


先導車・誘導車のドライバーの資格や条件としては多くの人が対象となっていますが、就いている人の傾向で言うと、転職者が多くなっています。

転職前の職種は直接的には運転に関係ない工場勤務や運転感覚を活かせる中型・大型トラックのドライバーなど、決まった職種はありません。

また先の項目でもあったように、期間限定の仕事になることから、臨時的な仕事先として選ぶ人がいることも転職者が多くなる要因になります。

もちろん、募集する側としては運転が苦でない人であれば歓迎するので、新卒でも就職できる仕事ではあります。

ただ大々的な募集されない珍しい仕事になるので、新卒の人が見つける機会が少ないことも、転職者の方が多い要因の一つです。


先導車・誘導車のドライバーで使う車両は、基本的に乗用車でもトラックでも会社側から貸し出される形になっています。

ほとんどの車両で標準装備としてカーナビが付いており、ドライバーが運転しやすい環境にできるよう車内への多少の持ち込みも許可している会社が多いです。

しかし、募集の中には乗用車も込みでドライバーを募集しているところもあり、その場合ガソリン代等は支給されますが、自分の車両を使うことになります。

プライベートの車両を仕事に持ち込みたくない人は、募集要項で仕事に使う車両が会社の貸出であるかも確認しておきましょう。


先導車・誘導車のドライバーは就業形態によって月給や日給、時給と変わります。

契約社員やアルバイト・パートでは日給もしくは時給になることが多く、日給は約5,000円～1万円、時給は約1,000円～1,500円が基準です。

正社員の月給は約25万円前後で、賞与を加えた年収は約300万円前後が基準です。

どの給料にも共通するのは誘導する際の移動距離や時間帯が大きく関わることで、移動距離が長い、時間帯が深夜や朝方であれば基準よりも少し高くなります。

また、経験や能力によって給料面でも優遇されると、正社員での月給が約30万円～40万円になることもあります。

この経験や能力は勤続年数でも判断されますが、前職が中型・大型トラックのドライバーであると、会社によってその部分も加味されます。


募集に応募して採用された後は、最初から先導車・誘導車に乗り込まずに研修期間や先輩の仕事に付いていく形で仕事を覚えていくことになります。

この期間の長さは経験の有無によって変わってきますが、主な内容は無線の使い方や誘導時の注意点であり、運転自体は本人の技術に任せられるでしょう。

このことから実践に移行するまではそれほど時間はかからず、正社員の場合は給料面でも研修期間扱いされずに最初から既定の月給になることが多くなっています。

資格や条件から見ると比較的簡単に見える先導車・誘導車のドライバーですが、勤務時間や独自の動きがあるので、その点は注意しなければいけません。

自分も大型車両を扱っている一人という自覚を持ちながら先導していきましょう。


先導車・誘導車のドライバーは先導する特殊車両や会社の請負の仕方によっては、勤務時間が定まったものにならないことがあります。

その場合は基本的にシフト制など交代の形式が取られるので、無茶なスケジュールにはなりませんが、睡眠時間については自分でしっかりと管理しなければいけません。

誘導する立場である先導車・誘導車は安全運転が絶対条件であり、居眠り運転をすることは論外と言っていい行為です。

睡眠時間が取れていなければその分、居眠り運転をしてしまうリスクが増えるので、睡眠はとても重要な要素になります。

そのため早朝や深夜で運転する時は、直前の睡眠時間を確保して、万全な状態で運転できるようにしておきましょう。


特殊車両は非常に大型の車両であり、誘導は常に緊張感を持って行われることから、眠くなる隙はないという人も中にはいると思います。

しかし、あまりに緊張し過ぎると、特殊車両を誘導することばかりに気を取られて、先導車・誘導車の運転の方が疎かになる可能性があります。

繰り返しになりますが、誘導のためには先導車・誘導車の安全運転が絶対条件になるので、特殊車両を気にしつつも、自分の安全も確認していきましょう。

ゆるやかな走行では先導車・誘導車が大事故に繋がる可能性は低いのですが、普段の運転と同じ意識を忘れないことが大切です。


先導車・誘導車のドライバーが普通のドライバーと一番違うところは、無線で周囲の状況を情報共有しながら走行していくところです。

無線での連絡は特殊車両の運転手を先導するためだけでなく、前後の誘導車で連携するためにも必要不可欠なものです。

正確な情報を伝えられないと先導車・誘導車の方は無事でも、特殊車両の接触や転倒による大事故を起こす可能性もあります。

慣れないうちは戸惑うところがあるかもしれませんが、はきはきとした返事や必要な情報をしっかりと伝えることで、安全運転に繋げられるでしょう。

資格や条件として必要なのは運転に関わる部分ですが、最低限のコミュニケーション能力も運転中には必要なので、はきはきとした態度でいる心構えをしておきましょう。


最後に先導車・誘導車のドライバーに関わる情報をもう一度見ていきましょう。



先導車・誘導車のドライバーは募集件数こそ多くありませんが、一定の頻度で募集される仕事で、普通免許と一定の運転経験があれば条件に合うことが多い仕事です。

また、転職してくる人が多く、特に中型・大型トラックのドライバーをしていた人は勤務経験を活かしつつ、給料面でも優遇される可能性が高くなります。

先導車・誘導車のドライバーになれば、基本的には誘導のための運転が中心になるので、他の作業をする必要はありません。

運転が好きで安全運転に自信がある人やドライバーとして積み降ろし作業がきつく感じてきた人は、募集を見かけたら就職・転職先の候補として検討してみましょう。