トラックドライバーの労働時間の規制と実態・ルール
働き方には日勤と夜勤があり、それぞれメリットやデメリット、給料面の違いなどがあります。大きなポイントとしては以下が挙げられます。
・規則正しいリズムで生活出来る
・しかし渋滞に巻き込まれる可能性もあり、時間に追われて業務にあたることもある
・渋滞もなくスムーズに走れるメリットが有り、給料面も日勤と比べて高い
・昼夜逆転の生活になるので、体調管理には気を配る必要がある
それぞれの特徴をふまえて、自身に合った働き方を選ぶ必要があります。
またその上で、会社選びからそもそもどのような職業なのか、までしっかりと理解しておくことが必要です。
仕事内容や、日勤と夜勤それぞれの特徴、気になる給料まで、押さえておきたいポイントを具体的にご紹介します。
トラックドライバーってどんな職業?労働時間は
日本中だけでなく世界中の様々な物を手にすることが出来る現代においては、物流を支える立役者として注目されています。
車を運転することが好きで興味を持っている人も多いはず。スキルアップするなどして高収入も期待出来る職業です。
トラックドライバーはただ運転するだけでなく、それに付随する業務もいくつかあります。また働く時間も日勤と夜勤があり、会社によってはシフト制になっています。
短~中距離の運転
基本的に半径50~200kmの範囲を配達して回る、主にルート配送ドライバーです。
人とコミュニケーションを取ることも多いので、運転技術だけでなく、ある程度のコミュニケーション力も必要になってくるでしょう。
まずは短~中距離の運転手から始めて、後にスキルアップして長距離の運転手を目指す道もあります。
長距離の運転
片道300km以上の距離を走る場合は長距離トラックドライバーです。長時間の運転になる為、人とコミュニケーションを取ることは比較的少なく、一人の時間は必然的に長くなります。
短~中距離の運転手に比べると、給料は高めの水準です。トラックドライバーの中では花形とも言える立場でしょう。
仕事内容
トラックドライバーの仕事内容は、業種や車両の種類によって異なります。
県をまたぐ長距離の輸送や、地域の各企業、スーパー・コンビニなどを回るルート配送、宅配便の配達、引っ越しなど形態は様々です。
作業については、運転に加え荷積み、荷下ろし、配達先とのやりとりなどもあります。
また伝票記入などの事務作業や、梱包作業が発生することもあり、運転に付随する業務も合わせてこなしていくことになります。
長距離輸送で配達する場合の、出勤後の主な流れをまとめました。
2) 車両点検
3) アルコールチェック
4) 積み込み作業 (荷崩れしないようロープなどで固定します。)
5) 目的地へ出発
6) 移動中、食事や休憩、仮眠を取る
7) 目的地へ到着
8) 荷下ろし
9) 勤務先へ配達完了の報告
10) 勤務先へ戻る
配達先で新たな荷物を積み、別の目的地へ配達することもあります。
短~中距離の場合は、移動と配達を一日のうち複数回くり返すことになるので、その日のスケジュールをしっかり確認しておくことが大切です。
時間管理も大切な仕事の一つとなっています。
仕事の流れはシンプルなので、慣れたらストレスなく取り組むことが可能です。
しっかりと到着時刻を守るっている限り、休憩や仮眠も個々の裁量で出来る為、自分のペースでのびのび働けるのも特徴です。
長い時間を一人車内で過ごすので、例えば好きなラジオを聞きながら業務に当たる、ということも可能でしょう。
ただ業務する上で、「責任感を持って、安全に目的地へ荷物を運ぶ」ということはしっかり念頭におく必要があります。
もちろん女性でもトラックドライバーになることは可能です。女性ならではのコミュニケーション力や気遣いを求めている企業もあります。
一般的には男性が多い職場なので、働く環境や条件などをよく考慮して選びましょう。
【参照】厚生労働省 トラック運転手
厚生労働省が定めるルール
トラックドライバーの労働については、厚生労働省が基準を定めています。
【参照】厚生労働省 トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント
休憩時間は勤務中に取る短時間の休みですが、ここで言う休息時間とは、一勤務を終えて次の勤務が始まるまでの時間を言います。
・やむなく拘束時間を延長する場合は16時間までが限度
・休息時間は継続して8時間以上が原則
・拘束時間15時間以上の回数は1週間に2回以下
・連続運転は4時間まで可能
・運転4時間ごとに30分以上の休憩が必要で、この休憩は分割が可能(1回10分以上で、10分×3回、15分×2回など)
・休日は休息時間の8時間に一日24時間を足した連続32時間以上必要
このように、トラックドライバーの労働環境は健全であるように守られています。
過労による運転事故を未然に防ぐ為にも大切なことです。
トラックドライバーの業務で運搬するもの
運搬するものは、業種によって様々です。下記のように多岐に渡ります。
・雑貨
・精密機器や電化製品
・牛、豚、鶏などの家畜
・鉄骨や木材などの建設資材
・フォークリフトやショベルカーなどの小型車両
・液体燃料や高圧ガスなどの危険物 など
運ぶものによっては特別な資格が必要な場合もあります。
また持っている資格によって作業がスムーズに遂行できることもあるので、必要に応じてそういった資格の取得を視野に入れることよって、仕事の幅も広げられるでしょう。
トラックドライバーが持っていた方が良い免許・資格
トラックドライバーとして働くのに必要不可欠なものから、働きながらキャリアアップを目指すべく取得した方が良いものまで、様々な免許・資格があります。
働く業種や運転したい車両に合わせて取得を目指すことで、仕事の幅も広がり給料面でも有利です。
普通自動車運転免許
トラックを運転するには必要不可欠な資格です。車両総重量が5トン未満の車両の運転が出来るようになっています。
しかし荷物の積載量は2トン未満の車両が多く、いわゆる「小型トラック」の運転が可能です。
小型トラックドライバーであれば、高校卒業後すぐに免許を取得したら働けるので、早めの取得を目指しましょう。
またATのみの免許では運転出来る車両が限られるので、MTで取得したいところです。
中型自動車運転免許
車両総重量5トン以上11トン未満の「中型トラック」の運転が可能になっています。免許取得資格は、「20歳以上で、普通免許または大型特殊免許を持っている期間が2年以上」です。
対応出来る幅が広く、現場で重宝される為、トラックドライバーであれば持っている人が多い資格となっています。
2017年3月、準中型自動車運転免許が新たに作られました。
この免許では車両総重量3.5トン以上7.5トン未満、最大積載量2トン以上4.5トン未満の車両の運転が出来るようになっています。
しかし中型トラックは総重量が約8トン、積載量が4トンになっている車両が多く、この場合だと準中型の免許では運転出来ません。
いわゆる「4トントラック」に対応するには、中型自動車運転免許を取得した方が良いでしょう。
大型自動車運転免許
車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上の車両の運転が出来るようになっています。免許取得資格は、「21歳以上で、普通免許を取得してから3年以上」です。
大型自動車運転免許の免許を持っていると、小型、中型、大型全ての車両が運転出来ることになるので、企業から大変重宝され、第一線で活躍出来る資格です。
給料面でも小型トラックドライバーの倍になることもあり、免許取得の難易度は上がりますが、挑戦する価値はあるでしょう。
けん引免許(トレーラー免許)
タンクローリーや大型トレーラーを運転する場合に必要な免許です。
資格取得後、実際の現場ではかなり高い技術を求められます。その為大型トラックである程度の経験を積み、技術を磨いた後に取得する人が多く、給料面では、大型トラックドライバーを上回ることもあります。
フォークリフト運転技能者資格
取得すると、昇降装置付き運搬車両、いわゆるフォークリフトの運転が出来るようになります。
最近は全て手作業で積み下ろしをすることは少なく、パレットに載せた荷物をそのままフォークリフトで昇降させ、積み下ろしを行うことが多くなっています。
運送業界では頻繁に目にする車両なので、取得すると役に立つことは間違いありません。
技能講習を受けると「フォークリフト運転技能講習修了証」が発行され、資格を取得出来ます。
玉掛作業者資格
玉掛けとは、荷をクレーンの先に引っ掛ける作業で、クレーン作業には必須となっています。運送業界だけでなく建設業界でも重宝されている資格で、持っていると有利です。
技能講習を受けると「玉掛技能講習修了証」が発行され、資格を取得出来ます。
危険物取扱者資格
ガソリンや毒物、ガスなど取扱いに細心の注意が必要なものを扱う際に必要になる資格です。甲種、乙種、丙種の3種類があり、全て国家資格となります。働く業種によっては、取得を求められる場合もあるでしょう。
運行管理者
車両の運転に繋がる資格ではありませんが、取得するとドライバーを管理する仕事が出来る為、事務所などで内勤として働くことも可能となります。
現役のドライバーを引退した後に就く人も多く、取得していると長い期間運送業界に携われるでしょう。
多くの資格を取得していると、転職する際にも有利です。働きながら、スキルアップ、キャリアアップを目指していきましょう。
勤務先
勤務先としては、主に物流会社や運送会社となります。
トラックドライバーの採用については現在引く手あまたで、学歴はあまり重要視されていません。
運転免許を持っていてやる気があれば、未経験でも採用されることが多くなっています。採用される上で、運転が好きなことは大前提でしょう。
業界としての年齢層が上がってきていることから、若手や女性の採用が積極的になされています。
入社時点では普通自動車運転免許しか持っていない場合でも、入社後に必要な免許取得の斡旋をしてくれる会社もあります。
雇用形態も正社員や契約社員、週1日から勤務出来るアルバイトまで様々です。正社員や契約社員の場合は福利厚生面もきちんと確認しましょう。
休日
平均して月6~9日、年間休日100日程度です。
休みについては週休二日制や週休一日制、平日休みなど、企業によって様々です。
土日祝やゴールデンウィーク、夏季休暇や年末年始などしっかりと休暇が取れる企業も多くあるので、自分に合った勤務先を選びましょう。
【参照】全日本トラック協会 2019 年度版 トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態
日勤と夜勤 それぞれのメリット・デメリット
それぞれメリットやデメリットがあるので、自身にあった働き方をよく検討することが大切です。
日勤のメリット
一般の職業と同様に、規則正しいリズムで生活出来るのが日勤のメリットです。その為身体への負担が少なく健康的な生活を送りたい方は日勤を選ぶと良いでしょう。
平日の夜や休日は家族と過ごせるのも大きいです。
トラックドライバーの仕事に慣れていない初心者は、まずは身体に負担の少ない日勤からスタートして、流れを覚えるようにするとスムーズです。
日勤のデメリット
一般的な職業と比べて、給料は平均的ですが、夜勤に比べると給料は低めの傾向にあります。
また通勤時間や帰宅ラッシュ、道路工事や想定外の事故に遭遇するなどで渋滞に巻き込まれる可能性もあります。
アクシデントが起きる可能性を念頭において、配送に掛かる時間を調整する必要も出てくるでしょう。
日勤の勤務時間例
・8:00~17:00
・8:30~17:30 など
夜勤のメリット
日中に比べ、夜間は交通量が少なく、「渋滞に巻き込まれて進まない」という場面はかなり少なく、そういったストレスを抱えることは少ないです。
また夜勤手当が出るので、日勤に比べて2~3割給料が高い水準>です。
日中は休息の時間に充てられますが、何かあった際は日中に用事を済ませられることもメリットです。
夜勤のデメリット
長距離の運転になると、待機時間に仮眠を取ることも多く、生活リズムが不規則になる場合があります。
また家族と過ごす時間が一般の職業に比べて少なくなることもあるでしょう。
日勤と夜勤をくり返すシフト制の場合もあり、体調管理には気を配る必要があります。
夜勤の勤務時間例
・21:00~翌9:00
・20:00~翌4:00 など
気になる給料・年収は?
また月給にして25~30万程度で、賞与を設けている企業がほとんどです。小型、中型、大型と順に収入が高くなっていき、中でも長距離ドライバーが最も高く、年収750万円の人もいます。
会社によっては、トレーラー手当や無事故手当、距離による歩合制を設けており、経験が上がると給料も上がるところがほとんどです。
また新たな免許や資格を取得するなどしてスキルアップすることで、給料アップも見込めますので、向上心を持って取り組みましょう。
頑張り次第で給料が上がっていくので、稼ぐ為にトラックドライバーをしている人がいることも事実です。
【関連ページ】 トラックドライバーの仕事時間、日勤と夜勤の違いから給料までご紹介
トラックドライバー求人における会社の選びのポイント
長く働く上で、会社選びは非常に重要です。数年働き仕事に慣れてくると、仕事内容や働き方を考えることも出てくるので、就職の際はしっかり吟味しましょう。
重視すべき点を下記にまとめました。
年間休日100日以上、有給休暇が取れる、社会保険完備(雇用、健康、労災、厚生年金)、時間外手当が出る、退職金制度がある など
・昇給、賞与がある
・各種免許、資格の取得をサポートしてくれる
・元請け企業で出来るだけ大手だと安心
・トラックの種類が小型~大型まで揃っており、勤務時間帯も日勤から夜勤へ、夜勤から日勤へと変更可能
・会社設立から10年以上が経っている
・会社のHPが充実しており、事務所も簡素すぎない
・頻繁に募集している会社は離職率が高いので避ける
トラック運転手として長く勤める上で大切なポイントです。先のことまで考え、会社のことをしっかり調べた上で応募しましょう。
【関連ページ】 トラック会社の選び方「良い会社」と「悪い会社」
トラック運転手のやりがいは
トラック運転手という職業には、「体力的にきつそう」、「拘束時間が長いのでは?」などとネガティブイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし過労にならないよう国が定める労働基準のルールがあり、従業員を大切にしている企業も多くあります。
今やトラックドライバーは、現代の物流と人々の生活を支え、私達の生活にはなくてはならない存在です。また向上心があれば、スキルアップやその先の給料アップが十分見込めます。
様々な土地や場所へ行くことが出来るのも魅力の一つです。また「大きいトラックを運転する」ということから憧れの存在でもあります。
向いている人は?
2) 責任感がある
3) 一人の時間を楽しめる
4) 体を動かすことが苦でない
トラック運転手を生涯の仕事と定め長年働いている人は多くいます。その上で念頭においておくべき項目です。
日勤と夜勤それぞれのメリット・デメリット まとめ
日勤と夜勤の違いに関しては、まとめとして具体的に以下が挙げられます。
・健康的で規則正しい生活が送れて、平日夜や休日は家族と過ごせる
・初心者には体に負担が少なく、仕事を始めやすい
<日勤のデメリット>
・渋滞に巻き込まれてスケジュールがずれ、時間に追われて業務にあたることもある
・給料は夜勤に比べると低い水準
<夜勤のメリット>
・渋滞もなくスムーズに走れる
・給料は日勤と比べると高い水準
<夜勤のデメリット>
・昼夜逆転の生活になるので、体調管理には気を配る必要がある
・家族と過ごす時間が少なくなる可能性もある
オンラインで買い物をすることも増えた現代社会では、物流量が以前と比べ明らかに増加しています。
今後ますますトラック運転手の需要は増え、長く働いてもらおうと労働環境をより良くする企業も増えてくるでしょう。景気に変動されない安定した職業です。
やりがいのある魅力的な仕事です。興味のある人はぜひチャレンジしてみましょう。

運営会社、株式会社しごとウェブの代表。運送業界に貢献できるようにトラQを運営しています。
トラQを使っていただいている皆様の仕事探しのお役に立つことができれば幸いです。