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最終更新日:2022-03-18

中型トラックの運転で心がけるコツは?

トラQ編集部
中型トラックの運転で心がけるコツは?

トラック運転手としてよく利用される中型トラックを扱う仕事に就くことを考えた時に、その車体の大きさから、運転の難しさが気になることもあるでしょう。

中型とはいえ、いつも使う車と比べると遥かに大きいトラックを扱うとなると、何かと不安があるかと思います。

中型トラックの運転に関しては以下の大まかに3つでまとめられます。

・中型トラックは乗用車より難しく感じる点がいくつかある
・中型トラックの運転のコツは丁寧に運転することである
・中型トラックは中型免許か準中型免許で運転できる


今回はこれらの項目を含めて中型トラックに関する情報を紹介していきます。



【目次】
1.中型トラックと他トラックの違い
 1-1.中型トラックの分類
 1-2.中型トラックを使う仕事
2.中型トラックの運転が難しいと感じる点
 2-1.車体の全長が長い点
 2-2.車間距離の感覚やスピード感覚が異なる点
 2-3.内輪差が大きい点
 2-4.オーバーハングが大きい点
3.中型トラックを運転するコツ
 3-1.スピードを抑えた運転を心がける
 3-2.次の行動に移る前に周囲の安全確認をする
 3-3.後輪を意識して動かしていく
 3-4.死角を把握しておく
4.中型トラックの運転に必要な免許
 4-1.普通免許でも中型トラックを運転できる人
 4-2.中型免許と準中型免許
 4-3.免許の取得費用
5.まとめ



中型トラックと他トラックの違い


中型トラックは普段の生活でもよく見かける型ですが、単語だけだとイメージが付きづらいかもしれません。

まずは業界的に中型トラックがどれくらいの大きさのトラックであるか、どのような仕事に利用されているかを見ていきましょう。

中型トラックの分類


トラックは用途と免許の関係上、大まかに3つの大きさに分けられています。

この分け方の基準に使われているのは、トラックごとに決められた積める荷物の重さである最大積載量、そして燃料などが入った車体と最大積載量を合わせた車両総重量です。

最大積載量と車両総重量による分類は以下のようになります。

・小型トラック……最大積載量2トン未満かつ車両総重量3トン以下のトラック
・中型トラック……最大積載量6.5トン未満かつ車両総重量は11トン未満のトラック
・大型トラック……最大積載量が6.5トン以上かつ車両総重量は11トン以上のトラック

【関連ページ】 トラックの種類 名称・大きさ・サイズと小型・中型・大型の違い

つまり、中型トラックは最大積載量が3トン~6トン、車両総重量が3.5トン~10トンのトラックを指す言葉となります。

また、トラック業界では4トントラックと呼ばれるトラックがあり、この4トンとは最大積載量のことを指しているので、実質的に中型トラック指しています。

募集要項で上記の量や4トントラックを扱えることが条件に提示されているとしたら、中型トラックを使う業務と考えて良いと思います。

中型トラックを使う仕事


中型トラックは最大積載量と車両総重量の幅が大きく開いていますが、建築材や鋼材などの重量のあるものは、主に大型トラックが扱っています。

中型トラックは重量ではなく、大量に必要な物を短距離から中距離の範囲内で運送する場合によく使われるトラックです。

扱う製品は食品から日用品まで多種多様であり、中型トラックには冷凍冷蔵車もあることから、保存の温度に関しても幅広く対応しています。

このように多種多様な運送に使われることから、日常で見かけるトラックも中型トラックが多くなっているのです。

中型トラック自体が扱えれば、運送する物に関係なく運転できるので、需要は高い仕事になっています。

【関連ページ】 中型免許でできるトラック運転手の仕事は家庭とも両立ができる?

中型トラックの運転が難しいと感じる点

中型トラックの運転が難しいと感じる点

結論から言うと、中型トラックの運転は乗用車と比べると難しい点がいくつかあります。

ただ、一回も運転していないのであれば、最初から難しく感じるのは当然のことです。

そして、難しいと感じやすい点を先に把握しておけば、実際に運転する際もある程度心構えをして運転できます。

車体の全長が長い点


中型トラックの全体の難しさの元となるのは、乗用車と比べた車体の大きさです。

特に車体の全長が大きく異なっており、例えば車線変更の際に、トラックの先頭から隣の車線に入って、後方が完全に移り切るまでの時間は乗用車よりも長くなります。

また、全長がある分横風の影響を受けることが多く、少し強い風が車体に当たるとトラック全体が揺れ、ハンドルが取られるケースもあるので、要注意です。

これ以外にも中型トラックの全長が長いことは、運転時の行動や道路状況などの様々な状況で特有のものがあるので、その感覚の違いが難しく感じる人もいます。

車間距離の感覚やスピード感覚が異なる点


中型トラックは全長だけではなく、座席の高さも異なります。

乗用車で座席に座った際の目線は地上から約1.2mにありますが、中型トラックでは地上から約2mにあり、ほぼ2倍の高さの違いがあります。

座席が高いことは少し広い視野となり、遠くの道路まで見えるので、右左折や停止の判断をする際に役立つものです。

しかし、この高さに慣れていないと、停止しようとした時の前の車両との車間距離に猶予があると多めに見積もってしまい、結果として近づき過ぎてしまうことがあります。

また、座席が高いことで見える景色が変わると、車両が出しているスピードの感じ方も異なるものです。

座席が高いと景色が広く見える分、実際に出ているスピード感が鈍ってしまい、自分が思っているよりもスピードを上げて走行してしまうことがあります。

これら2つの感覚も中型トラック独特のものであるため、難しさを感じる点になっています。

内輪差が大きい点


中型トラックは車体の大きさや長さから、乗用車でも生じる内輪差が更に大きくなっています。

内輪差が大きいことは内側に来る可能性のある原付バイクや歩行者などを巻き込む場合や、他の車と接触する可能性が高まるので、乗用車以上に注意が必要です。

特に左折する場合は運転席の関係上、内輪差が発生する部分が死角となってしまいます。

死角となる部分はトラックに備え付けられたサイドミラーで少し確認できますが、それでも完璧な確認はできないので、最も注意すべき点です。

この他にもカーブを曲がる際に車体が大きいことから車線からはみ出ることや狭い路地が曲がりづらいことなど曲がることに関して、接触や事故の可能性が潜んでいます。

オーバーハングが大きい点


中型トラックでは車体全体の大きさに伴い、オーバーハングも大きくなっています。

オーバーハングとは前後の車輪の中心部からはみ出した車体の部分のことです。

乗用車では前がボンネットからナンバープレートにかけて部分で、後ろがトランクにあたる部分をイメージして貰うとわかりやすいと思います。

中型トラックでは、オーバーハングも乗用車より大きくはみ出しており、オーバーハングが大きいことも運転時に様々な違いを感じさせます。

右左折の時に、他の車や壁と接触する可能性が高いのがこのオーバーハングであり、車体の全長を含めて意識しなければならない部分です。

【関連ページ】 中型トラックドライバーの仕事内容ときついところ・楽しいところは?

中型トラックを運転するコツ

中型トラックを運転するコツ

難しいと感じる点がわかったところで、実際に中型トラックを運転する際のコツを紹介していきます。

運転技術が高いことよりも、丁寧な運転ができることが重要になってくるものです。

スピードを抑えた運転を心がける


座席の高さからスピードが出てしまうことは、慣れていけば感覚を掴んでいけますが、それでも根本的な部分では、スピードを出しやすいことに変わりはありません。

そのため、中型トラックの運転時にはスピードメーターを確認しつつ、全体的にスピードを抑えた運転を心がけることが良い運転となるコツです。

乗用車での運転でもスピードメーターは見るかもしれませんが、慣れている分多少スピードが超過しても気にしない場合があります。

中型トラックの運転ではその多少のスピードが停止や右左折に大きく影響する可能性があるので、慣れないうちはこまめに確認して運転していきましょう。

スピードを抑えた運転は、風の影響も受けづらくなるので、突風で車体のバランスが崩れることを防ぐことにもつながります。

次の行動に移る前に周囲の安全確認をする


中型トラックの運転から生じる事故は、運転の難しさから生じるものではなく、先のスピードの出し過ぎや周囲の確認を怠っていたことから生じるものが多くなっています。

衝突事故や巻き込み事故は、事前に周辺車両や通行人がいることを確認することによって、無理な行動を防ぐことにつながります。

そのことから停止や右左折などの走行時に次の走行に移る前に、周囲の車両や通行人、ガードレールなどの設置物を把握すると、事故を起こしづらい運転になります。

また駐車時や車庫入れの際も、一旦トラックから降りられる環境であれば、降りてから目視で周りの状況を確認した上で動かすことも大事な意識です。

当たり前の行動かもしれませんが、配送を急ごうとしたり、長時間の運転で注意力散漫になっていたりする可能性はゼロとは言い切れません。

大事故に繋がる可能性を考慮して、安全確認を怠らない運転をしていきましょう。

後輪を意識して動かしていく


中型トラックで右左折やバック駐車が難しいと感じる人は、後輪を意識して動かすことがコツです。

乗用車では車体がそれほど長くないため、前後の車輪もそれほど意識しないでも思った通りに動かせます。

ただ全長のある中型トラックでは、後輪が動きを意識しないままでは、前輪を基準に動かしてしまうので、結果として上手く動かせなくなってしまいます。

例えば、交差点で左折する際にすぐに前輪から曲がってしまうと、後輪が角を曲がる時に車体の後ろが大きく反対車線にはみ出してしまう可能性があります。

少しだけ真っすぐ進んで運転席が過ぎた辺りから左に曲がり始めると、後輪の部分がはみ出すことを防ぎつつ、綺麗に左折できます。

このように、どこかを動かす時に後輪の動きがどうなるかを意識することによって、接触や事故の防止や、上手く動けることにつながるのです。

慣れるにつれて自然にできる人もいますが、慣れた人ほどこの後輪の意識を忘れずに動かしているので、最初からしっかりと実践していきましょう。

死角を把握しておく


中型トラックの全長や座席の高さから必ず死角が生じるものです。

サイドミラーやバックミラーである程度確認できる部分もありますが、完璧に確認できるわけではないので、ミラーは補助的なものになります。

運転席の真下やトラックの真後ろは、追加のミラーやバックモニターを付けない限り死角になる部分で、この他にも交通状況から発生する死角もあります。

ただ、そのような死角があることを事前に把握することによって、上記のスピードを抑えることや安全確認を怠らないことをより意識出来るようになります。

自分が気持ちよく運転していけるようにするためにも、危険な箇所である死角はしっかりと把握しておきましょう。

中型トラックの運転に必要な免許

中型トラックの運転に必要な免許

ここまで中型トラックの運転が難しく感じる点やコツを見てきましたが、基礎となる運転技術については教習所で学習できるので、免許さえ取得出来たら、それほど怖がらなくても良い程度の問題です。

ただし、中型トラックに必要な免許は取得条件や免許による違いがあるため、自分の状況や仕事に合わせた免許取得を考えなければいけません。

普通免許でも中型トラックを運転できる人


最初の項目でも書いたように、中型トラックは最大積載量が3トン~6トン、車両総重量が3.5トン~10トンのトラックを指します。

これらは普通免許では運転できないと思うかもしれませんが、実は免許を取得した時期によって、一部の中型トラックを運転できる可能性があります。

これは道路交通法が改訂された時に、普通免許で運転できる車両基準も変化したことから起こっています。

一部の中型トラックを運転できる可能性があるのは以下の2つです。

・2007年6月2日〜2017年3月11日の間に取得した普通免許……最大積載量3トン未満かつ車両総重量5トン未満の車両が運転可能(準中型(5t)限定免許)
・2007年6月1日以前に取得した運転免許……最大積載量5トン未満かつ車両総重量8トン未満の車両が運転可能(中型(8t)限定免許)


準中型(5t)限定免許と中型(8t)限定免許は、それぞれ現在の中型トラックの基準に当てはまっています。

ただし、上記の基準外であれば同じ中型トラックでも運転できないので、仕事で扱うトラックの最大積載量と車両総重量には十分注意してください。

中型免許と準中型免許


一方で、2017年3月12以降の普通免許を取得した人や、先の限定免許を限定解除したい人は中型トラックの免許取得を目指すことになります。

〇中型免許
・最大積載量6.5トン未満かる車両総重量11.0トン未満の車両が運転可能
・乗車人数11人以上29人以下の車両が運転可能
・年齢が20歳以上かつ普通免許取得から2年以上の経過が必要

【関連ページ】 4トントラックの積載量と必要な免許とは

中型免許の取得には普通免許の取得年数が参照されるので、年齢だけ満たしていても、いきなり中型免許の取得ができません。

このことから、長らく中型免許の取得は難易度が高いとされてきましたが、道路交通法が改正された2017年3月12日から準中型免許が新たに設置されました。

〇準中型免許
・最大積載量4.5トン未満かつ車両総重量7.5トン未満の車両が運転可能
・乗車人数10人以下の車両が運転可能
・18歳以上から取得可能


こちらは中型免許よりは最大積載量及び車両総重量が減りますが、免許の取得要件が普通免許と同じ18歳以上であることから、条件的には取得がよりハードルが低いと言えます。

現在はこの2種類から選ぶことになりますが、より大きなトラックを扱える方が仕事の幅としては有利になります。

しかし準中型免許であれば、高校卒業後からすぐに中型トラックが扱えるメリットもあるので、各々の年齢や免許取得状況と合わせて選ぶと良いと思います。

免許の取得費用


中型免許及び準中型免許は普通免許と同様に、教習所等で取得していくものですが、取得にかかる費用は、既に持っている免許によってある程度抑えられます。

〇中型免許
・普通免許所持(2017年3月12日以降)……20万円前後
・準中型(5t)限定免許所持……18万円前後
・準中型免許所持……15万円前後
・中型(8t)限定免許(限定解除)……10万円前後


〇準中型免許
・普通免許所持(2017年3月12日以降)……15万円前後
・準中型(5t)限定免許所持(限定解除)……7万円前後


中型トラックにはAT限定が存在しないため、普通免許がAT限定である場合は、この費用に加えて限定解除の費用が必要になります。

近年ではATの限定解除を含めた中型免許の取得コースも用意している教習所もあるので、AT限定の人はコース内容も確認してみましょう。

また、免許の取得費用は会社によって補助や全額負担といった条件を提示してくれる場合もあります。

若い人材を求める会社は入社前に免許の有無を問わないこともあるので、上記の金額を参考にしつつ、会社側の負担についても求職時は見ておくと良いかもしれません。

まとめ

中型トラックの運転で心がけるコツは?のまとめ

最後に中型トラックの運転に関することをもう一度確認しましょう。

・中型トラックは車体の長さや座席の高さから中型トラック独特の感覚が必要で乗用車より難しく感じる点がある
・中型トラックの運転のコツは運転技術よりもスピードを抑え、安全確認をしっかりするなど、丁寧に運転することが大切である
・中型トラックは年齢と免許取得要件が必要な中型免許と最大積載量と車両総重量は下がるものの18歳上から取得できる準中型免許で運転できる


中型免許の運転は乗用車基準で考えると難しく感じるところはありますが、免許を取得する過程や安全意識が高いと苦労するところは少ないのです。

自分が就きたいと思う会社が必要とする中型トラックの基準を確認して、中型免許または準中型免許の取得や普段の安全運転を目指していきましょう。

この記事の執筆・監修
トラQ編集部 佐藤 哲津斗

運営会社、株式会社しごとウェブの代表。運送業界に貢献できるようにトラQを運営しています。
トラQを使っていただいている皆様の仕事探しのお役に立つことができれば幸いです。

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