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最終更新日:2021-10-29

大型トラックの運転のコツについて解説

トラQ編集部
大型トラックの運転のコツについて解説

大型トラックの運転手として働こうと考える際に、自分があれほど大きな車両を動かせるのかと心配してしまうかもしれません。

また、大型トラックの運転は難しいと言われることもあり、それらも不安に思われることもあるでしょう。

しかし、実際に大型トラックを運転する人はたくさんいるので、大型トラックの仕様や運転時のコツがわかれば、それほど難しいものではなくなります。

大型トラックを運転する際に、コツと言える項目は、大きく分けて以下のようにまとめられます。

・大型トラックには普通自動車とは車両感覚が大きく異なる
・大型トラックの左折は最も気を付けるべき項目である
・大型トラックのバックはベテラン運転手でも注意する項目である


これだけ見ても、本当に大丈夫なの?と心配に思われるかもしれません。

それではこれらを含めて確認していきましょう。



【目次】
1.大型トラックの分類と必要免許の条件
 1-1.大型トラックとは
 1-2.大型免許の条件
2.大型トラック運転時の特徴
 2-1.車体の大きさ
 2-2.内輪差・外輪差
 2-3.座席の高さ
 2-4.エンジンと運転装置
3.大型トラックの左折のコツ
 3-1.左折する道路の周辺に単車や通行人がいないか確認する
 3-2.減速しながら左折する道路の曲がり角に入っていく
 3-3.左折時には対向車の位置を把握する
 3-4.運転席が左折する道路を過ぎた辺りでハンドルを切り始める
 3-5.左折中も車体の前方を目視、後方をミラーで確認しつつ曲がっていく
4.左折以外の大型トラックを運転するコツ
 4-1.右折のコツ
 4-2.バックのコツ
 4-3.坂道運転のコツ
 4-4.補助的な装備の導入
5.大型トラックの運転のコツのまとめ



大型トラックの分類と必要免許の条件


大型トラックを運転するコツを見ていくためには、まず大型トラックが他のトラックとどのような違いがあるか把握することが大切です。

就こうと思っている仕事に大型トラック及び大型免許が必要になるかの基準にもなるので、最初に見ておきましょう。

大型トラックとは


トラックの大きさはトラック業界やトラックメーカーによって分類されており、大きく分けて小型・中型・大型の3種類です。

その中で大型トラックは、車両総重量(燃料や荷物を含めたトラックの総重量)が11トン以上で、最大積載量(トラックが積める荷物の量)が6.5トン以上のトラックとなります。

大型トラックで運ぶ荷物は、大量発注された商品や他のトラックでは運べないような重機や鋼材などの重量物が主なものです。

荷物の積み降ろし作業に関しては、大量の商品や重量物を扱うため、手作業ではなくフォークリフトを用いることになります。

そのため多くの場合、積み降ろしはフォークリフトに任せて、運転手は待機するだけで済みます。

他のトラックでは必須となる積み降ろし作業を、大型トラックでは省略できる事はメリットにもなり得る部分です。

一方で、一度に大量の商品を運べることから、他のトラックと比べると長距離・長時間の運送を任されることが多いトラックでもあります。

大型免許の条件


大型トラックを運転するには、普通免許ではなく大型免許が必須となります。

しかし、大型免許は最初からそのものを取得できるわけではなく、普通免許が取得済みであることを条件に含んでいます。

○大型免許の詳細
・年齢が21歳以上かつ免許取得から3年以上経過していることが取得条件
・車両総重量11.0トン以上かつ最大積載量6.5トン以上の車両が対象
・乗車定員30人以上の車両が対象


この詳細に加えて、視力・聴力・色彩感覚・身体能力を検査された上で取得が認められます。

普通免許を18歳で取得したとして、早ければ21歳で大型免許を取得できますが、必ず3年の条件が含まれるので、普通免許を持っていない人はいきなり大型免許を取得出来るようにはなっていません。

そして、大型免許にはAT(オートマ)限定免許が存在しない(ATの大型トラックは存在します)ので、普通免許がAT限定の場合は、限定解除する必要があります。

また、大型トラックの取得費用は現在所持している免許によって多少前後します。

○大型免許の取得費用
・普通免許……32万円前後(ATの場合は限定解除がある分増える)
・準中型(5t)限定免許所持(2007年6月2日〜2017年3月11日の間の普通免許)……30万円前後
・準中型免許所持……28万円前後
・中型(8t)限定免許(2007年6月1日以前の普通免許)……25万円前後
・中型免許……20万円前後


近年ではAT限定免許の限定解除を含んだ大型免許の取得プランが用意されている教習所もあります。

大型トラック運転時の特徴

大型トラック運転時の特徴

普通自動車でも軽自動車とワンボックスカーでは、運転時の車両の大きさの違い感じるものです。

大型トラックではその車両感覚の違いを更に感じることになり、中型以下のトラックともまた違った感覚になります。

ここでは大型トラックの車両感覚の違いや装置に見られる特徴を挙げていきます。

車体の大きさ


大型トラックは普通自動車や他のトラックと比べると、目に見えて車体の大きさが違いますが、それ以外にも運転中に車体の大きさを感じる場面があります。

右左折を完了するまで、また車線変更時に完全に隣の車線に移るまでの時間は、車体の長さがある分、少し時間がかかってしまいます。

また車体が大きい分、風の影響を受けやすく、少し強めの風が吹くと車体が揺れてバランスを崩す可能性があります。

普通自動車でも、車が大きくなるごとにハンドルの重さを感じるものですが、大型トラックは車体の重さに荷物の重さが加わるので、相当重く感じる場面もあります。

内輪差・外輪差


車両感覚の違いを最も感じられるのは右左折時で、普通免許の時にも学習する内輪差が大型トラックでは更に大きくなります。

特に交差点での右左折時は、車体の大きさから普通自動車以上に巻き込みや接触の可能性が高くなるため、大回りする必要があります。

しかし大回りし過ぎた時は、反対に外輪差が大きくなり、オーバーハング(タイヤの車輪の中心から外側に覆いかぶさった部分)が反対車線にはみ出す可能性もあります。

車体の大きさから発生する内輪差と外輪差は、他のトラックと比べても大型トラックが最も注意しなければならない項目です。

座席の高さ


大型トラックの座席は、普通自動車と比べて約3倍高い位置にあり、そこから見える視点は大きく変わってきます。

目線が高いと前方に関しては少し先まで見やすいのですが、車の真下となる車体の周辺に関しては、座席からは完全な死角となってしまいます。

この死角はトラックに設置されている真下が見られるミラー(アンダーミラー)で確認できますが、それだけで完全に把握できるわけではありません。

この部分が死角の一つになることを把握して運転していく必要があります。

また車体の大きさと座席の高さから、スピード感覚や前方の車との車間距離の感覚も大型トラック特有のものになっていきます。

エンジンと運転装置


大型トラックは基本的にMT(マニュアル)車がメジャーであり、運転時の操作もシフトチェンジをしていく必要があります。

近年の普通自動車はATが主流であるため、MTでの運転技術が常に必要になることは大きな違いの一つです。

また大型トラックには、フットブレーキと排気ブレーキの2種類のブレーキが装備されています。

フットブレーキは普通自動車のブレーキと同様の停止装置ですが、大型トラックにおけるフットブレーキは、多用すると効きづらくなることがあります。

そこで長い下り坂などでフットブレーキを多用しないように、減速させる補助的な装置として排気ブレーキが付いているのです。

この大型トラック特有の装置も使いこなす必要があることも、普通の運転との大きな違いです。

大型トラックの左折のコツ

大型トラックの左折のコツ

大型トラックで接触事故や巻き込み事故が起こりやすいのは、左折する時です。

左側は車道で単車が死角の位置に付いたり、曲がる瞬間に歩道が近くなったりすることから、大型トラックでは最も慎重にならなければいけないポイントと言えます。

左折のコツは以下の5つが挙げられます。

①左折する道路の周辺に単車や通行人がいないか確認する
②減速しながら左折する道路の曲がり角に入っていく
③左折した先の対向車の位置を確認する
④運転席が左折する道路を過ぎた辺りでハンドルを切り始める
⑤左折中も車体の前方を目視、後方をミラーで確認しつつ曲がっていく


事故に繋がる可能性もある重要な項目なので、個別で詳しく見ていきましょう。

左折する道路の周辺に単車や通行人がいないか確認する


左折し始めると、死角となる位置にいる単車や通行人を確認して避けることは、ミラーがあっても難しくなります。

そのため、左折する道路に入る前はトラックの前後に単車が走っていないか、歩道のガードレールの有無や横断歩道が設置されているかを事前に確認しておくことが重要です。

もしも前後に単車が走っている場合は追い越しや早めに曲がり始めるのではなく、先行して貰って曲がり角から完全に離れた状態になるまで待ちましょう。

歩行者がいる場合も同様に先に横断歩道を渡って貰ったり、自分が左折するタイミングで絶対に近づかない距離にいることを認識したりした上で左折の準備を始めていきます。

減速しながら左折する道路の曲がり角に入っていく


普通自動車でも右左折時には減速しながら曲がる準備をするものですが、大型トラックではそれがより重要になります。

スピードがある状態で曲がると、ハンドル捌きも早めなければならず、余裕を持って曲がれなくなるので、そこから左折に失敗してしまう可能性が高まります。

また大型トラックで急ブレーキをしたり、急ハンドルを切ったりすると、車体の後ろ側がバランスを崩して横転してしまう可能性もあります。

余裕を持って左折するためにも、減速して急な行動をしないで済むようにして曲がり角へ入りましょう。

左折時には対向車の位置を把握する


減速しつつ曲がり角に入るタイミングでもう一つ確認しなければならないのは、左折した先の対向車の位置です。

交差点で停止線がある時にその線の手前できちんと停車している場合は、道幅にも寄りますが、多くの状況で左折の障害にはほとんどなりません。

しかし、対向車が停車線からはみ出して前に出た状態であると、大型トラックの車体の右前方や右後方が左折時に接触してしまう可能性が高まります。

これを回避するためには、左折する直前に車体の前方を大きく右に逸らしてから左折を始めるなど、対向車に接触しないような形で曲がるしかありません。

それら左折時の入り方を切り替えるためにも、直前の対向車の位置は把握すべきポイントです。

運転席が左折する道路を過ぎた辺りでハンドルを切り始める


左折時にハンドルを切り始めるタイミングは、運転席(自分がいる位置)が左折する道路を過ぎた後で、ここを押さえるとスムーズに曲がれます。

この際、事前に減速しておくと、ハンドルを切るスピードもゆっくりで済ませられ、余裕を持って回せるので、心がけたいポイントです。

ハンドルの切り始めを失敗すると、後輪が曲がり切れない事態になってしまうので、切り初めは十分に意識していきましょう。

左折中も車体の前方を目視、後方をミラーで確認しつつ曲がっていく


大型トラックの左折は周りの通行人や車も危険性はわかるので、左折中は近づかないようにする人も多いものです。

しかし、それでも完全に危険性がなくなるわけではないので、完全に曲がり切るまでは目視やミラーで見られる範囲で確認することが大事です。

ここまでの行程が長く感じられるかもしれませんが、実際は左折しようと思ってから曲がり切るまで数分とかかりません。

その短い時間でも注意しながら左折することによって、接触事故や巻き込み事故を起こさずに済むのです。

左折以外の大型トラックを運転するコツ

左折以外の大型トラックを運転するコツ

ここでは左折以外の運転時のコツについて挙げていきます。

右折のコツ


右折する場合も左折と同様に、周辺の確認と減速しつつ曲がり始めることが重要な点です。

右折で接触の危険性があるのは右折先の対向車で、ハンドルを早く切り過ぎると、内輪差で車体の前方が接触する可能性があります。

左折よりは巻き込み事故の可能性は低いのですが、注意すべきことには変わりないので、左折時の意識を持ちつつ右折していきましょう。

バックのコツ


大型トラックで左折と同じくらい難しいことは、駐車時や車庫入れの際にバックさせることです。

大型トラックでは普通自動車のようにルームミラーによる後方確認ができないため、目視とサイドミラーの確認でバックしなければいけません。

それでも全て確認するのは難しいので、バックする前に一旦降りて駐車する場所や車庫の位置関係を見ておくと、ある程度把握した状態でバックできます。

車庫入れの場合はその場にいる社員に誘導して貰うことも一つの手です。

降りることや誘導をして貰うことはベテランのトラック運転手ほどよく行うことなので、安全のためのコツとして覚えておきましょう。

そうした上でバック自体のコツは、後輪を駐車場の白線の角や曲がり角になるべく近づけてバックしていくことです。

慣れると感覚でバックできるようになりますが、慣れないうちは目標を定めてバックしていきましょう。

坂道運転のコツ


大型トラックの運転で坂道の走行や停車は、普通自動車以上に気を付けないと、大事故に繋がる可能性があります。

上り坂で坂道発進をする時に、大型トラックでは坂道発進用のブレーキシステムが備わっていることが多いのです。

このブレーキシステムはオンオフの切り替えができるので、坂道を走行する予定がある際は、切り替えが適切に作動するか、システムを確認しておきましょう。

下り坂では先に紹介したフットブレーキや排気ブレーキを併用して停車することになりますが、それに加えて坂道ではスピードを出さないことが安全運転のコツです。

坂道でスピードが出たままの状態では、大型トラックは重さがある分、通常よりも急停車が難しくなります。

更に坂道での急停車は積んでいる荷物が大きく動く可能性があり、大切な荷物を破損させてしまうことにもなりかねません。

装置としてのブレーキは整っていますが、それに頼り過ぎない走行や停車が必要になります。

補助的な装備の導入


ここからは、運転技術とは異なりますが、上記のコツを補助する役割として紹介します。

大型トラックは、左折やバックの際に活用できるミラーが限られることから、確認が難しく感じてしまう人もいます。

ただ近年では、その問題を解決するために、元々あるミラーとは別の補助的なミラーが販売されています。

規定の範囲内で補助ミラーを常設することで、本来死角となる場所の一部も運転席から確認できるので、安全を重視する際には装備を検討するのも一つの手段です。

また、ミラーでは補えない死角である真後ろを確認するため、バックモニターを設置することも、安全面の向上に繋がります。

いずれも有効な装備ではありますが、あくまで補助を目的とするものなので、通常の目視やミラー確認と合わせた上で活用していきましょう。

大型トラックの運転のコツのまとめ

大型トラックの運転のコツのまとめ

最後にもう一度大型トラックを運転するコツについてまとめていきます。

・大型トラックは車体の大きさや座席の高さなどの車両感覚とMTとしての車両装備が普通自動車とは大きく異なる
・大型トラックの左折は接触・巻き込み事故を引き起こす可能性があることから内輪差やスピードに注意して曲がる必要がある
・大型トラックのバックはベテラン運転手でも一旦トラック降りて目視の確認や誘導に従って行うものである


大型トラックの運転は多少の慣れは必要ではありますが、根本的な部分は普通自動車でも必要な注意力や安全確認が中心となっています。

大型トラック特有の感覚は運転していく度に身に付くものなので、大型免許の取得時点でも基礎は出来上がっているものです。

難しいものと考え過ぎずに、大型トラックの特徴と基本の安全を把握して、大型免許の取得や就職活動をしてみてください。


この記事の執筆・監修
トラQ編集部 佐藤 哲津斗

運営会社、株式会社しごとウェブの代表。運送業界に貢献できるようにトラQを運営しています。
トラQを使っていただいている皆様の仕事探しのお役に立つことができれば幸いです。

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