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最終更新日:2021-10-27

円満退社する方法と退職の意思の伝え方 

トラQ編集部
円満退社する方法と退職の意思の伝え方 
仕事に限らず人と争うのは嫌なことですが、長年お世話になった会社を辞める時はなおさらです。

上司や同僚と敵対することなく、気持ちよく会社を去って、次の職場でのスタートに繋げたいものです。

そんな円満退職に向けて、役に立つ情報をご紹介します。


なぜ円満退職が必要なのか?

なぜ円満退職が必要なのか?
そもそもなぜ円満退職が必要なのでしょうか?退職する会社なのだから、もう関係ないという人もいらっしゃるかもしれませんが、その理由についてご紹介します。

円満退職とはどういうことか?


円満退職とは、「上司や同僚から退職することへの理解が得られ、職務の引き継ぎ等も済ませて、お互いに気持ちよく退職すること」を言います。

しかし実際は、社内には次に挙げるような人がいる可能性もあります。

・あなたが退職することによって、後任を新たに採用することとなり、手間も費用もかかるので困っている。
・あなたが退職することによって、後任が決まるまでの間仕事量が増えて困っている。
・あなたに対して一生懸命に指導してきたのに、無駄になってしまった。


挙げ出したらいくらでも出てきそうですが、これは仕方がありません。退職につきものだと諦めるしかありません。

ただ、このような人がいることも念頭に入れて、それでも可能な限り笑顔で退職していくことが重要です。それによって得られるものがあります。

円満退職によって得られるもの


円満退職によって得られるものを二つご紹介します。

【リスクを回避できる】

どのようなリスクを回避できるかというと、
 
⦁ 過去も含めて会社に負わせた損害の賠償を求められるリスクを回避できる。

例えば、会社から借り受けていたPCを自宅で使用していたところ、コーヒーを溢して故障させた場合など。

関係良好であれば 「いいよ、こちらでなんとかしておくから!」で済むこともあり得ます。

⦁ 同業他社へ転職した場合に、よくない噂を流されるリスクを回避できる。例えば、取引先に対して「アイツは会社に迷惑をかけてやめたんです。」などと告げ口をされては、信用問題になってしまいます。

⦁ 引き継ぎ不足だとして、転職後も連絡が入るリスクを回避できる。関係良好であれば「アイツも新しい職場で大変だから、こちらでなんとかしよう」となると思います。

もちろんそのようなことにならない様に、しっかりと引き継ぎを行うことが大事です。


【転職後も協力体制を維持できる。】

⦁ 例えば取引先から、自社の扱っていない分野の荷物について運送の相談を受けた際、同じ地区を担当しているということで、案件を振ってくれることもあり得ます。

⦁ 取引先等では元同僚ということで、良い印象で話をしておいてもらえることもあり得ます。少なくとも、マイナスイメージで話をされることのないようにすることも大切です。 

円満退職するための手順とポイント

円満退職するための手順とポイント
円満退職がいかに大切かは分かっていても、場当たり的に手続きを進めて行ってしまったりしては、どこかで間違ってしまうこともあります。

退職するということは何度もある事ではありませんので、意識して具体的な手順に沿って進めていきましょう。

円満退職への手順は以下のとおりです。一つずつ具体的に内容をご紹介していきます。

⦁ 会社に退職の意思を伝える。
⦁ 退職願・退職届を提出する。
⦁ 引継ぎおよび社内外への挨拶回り
⦁ 有給休暇の消化
⦁ 退職


1.会社に退職の意思を伝える。


まずは会社に退職の意思を伝えることから始まります。なんでもないことのように思うかもしれませんが、ここにもポイントがいくつかあります。

【退職の意思は誰に伝えるか】

最初に退職の意思を伝える相手は直属の上司です。

たとえ、直属の上司と関係が悪かったり、退職の原因となっていたりしたとしても、この順番を飛ばさないほうが良いでしょう。

先に直属の上司以外の同僚に退職することを伝えていたことが分かった場合、直属の上司としてはおもしろくないと思います。

人事部からの退職の手続きに関する連絡は、直属の上司を経由して本人に伝えられることも多いので、円滑に退職手続を進めるには、直属の上司との関係は維持しましょう。

【関連ページ】 必要な退職の手続きのやり方について解説

【退職の意思はいつ伝えるか】

よく「退職の2週間前までに退職の意思を伝えるとOK」といった意見を聞きますが、これは民法の規定を根拠にしています。

民法627条1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。
【参照】e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)

これは期間の定めのある雇用契約(正社員)の場合ですが、労働者はいつでも退職の意思を伝えてかまわないし、伝えた日から2週間を経過したら、自動的に雇用関係は解消されるということになります。

しかし、各種手続きや引継ぎ等も行わなければならないことを考慮すると、実際は2週間では足りないことが多いようです。

そこで、企業は独自に「退職の何日前までに申し出ること」と規定を設けていることがほとんどで、退職の1ヶ月前までとしている企業が多いようです。

中には退職の3ヶ月前までに退職の意思を申し出ることをルールとしている企業もあるので、そのような企業の場合は、転職活動にも十分に注意する必要があります。

内定を貰いはしたものの、入社は3ヶ月以上先になるので、そのことに転職先から承諾をもらっておかなければなりません。

ちなみに、
民法627条1項→退職の2週間前までに申し出ること
会社独自の規定→退職の1ヶ月前に申し出ること
となっている場合について説明します。

これは、仮に会社独自の規定に違反して退職の意思を伝えた日から2週間で退職した場合でも、民法の規定には反していないので、違法とはならないわけです。

しかし、円満に退職するためには会社の定めたルールに従うべきでしょう。  

したがって上記の場合では、退職の意思を伝えるタイミングは、退職したい日から1ヶ月以上前になります。

※会社によっては2ヶ月前としてある場合もあります。早めに就業規則等で確認しましょう。

【退職の意思はどのように伝えるか】

直属の上司を呼び出す。
退職の意思はまず直属の上司に伝えますが、「お話があります」と呼び出しましょう。できれば事前にアポを取る方が望ましいです。

場所は当日使用していない会議室等を予約しておくことが望ましいのですが、無理な場合は人目につかない場所にしましょう。その方が落ち着いて話ができます。

声のトーンや表情
退職が苦渋の決断であることが伝わるような声のトーンや、真剣な表情で伝えましょう。

退職すること自体は各人の自由ですが、上司にとっては人員が1人減り、仕事の割り振りや後任、引き継ぎ等の問題など、大きな負担がかかることになります。

退職の理由は個人的かつポジティブなものにする。
退職願や退職届では退職理由を「一身上の都合」としますが、上司に面談のうえ退職の意思を伝える場合は、具体的な理由を告げざるを得ません。 

その時はネガティブな理由は避けて、個人的な理由かつポジティブなものにしましょう。

会社や営業所への不満などのように、ネガティブな理由による場合、改善するから考え直して欲しいといった展開になってしまうこともあり得ます。

また、何よりも上司としても気分の良いものではありません。

そこで退職理由は、上司が「そういうことなら仕方がない。」と納得してくれるようなものや、さらには「応援するから頑張れ」とまで言ってくれるようなものであればなお良いでしょう。

2.会社に退職願・退職届を提出する。


退職を会社に打診する「退職願」は、直属の上司に対して、最初に退職の意思を伝える時に提出するケースもあります。

その場合、上司によっては「退職の決意が固いんだな」「丁寧に申し入れてくれたな」と感じると思いますが、中には「まだ退職の打ち合わせもしていないのに…」とマイナスの感情を抱くこともあるかもしれません。

そこで、退職の意思を伝えた後のこのタイミングで退職願を提出することの方が多いようです。

3.引継ぎおよび社内外への挨拶回り

引継ぎおよび社内外への挨拶回り
退職届を提出したら、退職日までしっかりと働くことはもちろんですが、特に引継業務には注力しましょう。

引き継ぐ相手がまだ決まっていないとしても、引継ぎ資料を詳細に作成しておくなどして、実際に引き継ぐときに効率的に行えるようにしておきましょう。

また社内外のお世話になった人たちに対する挨拶は、可能な限り対面で行いましょう。

他営業所で、顔を合わすのが無理な人に対しては、メールで挨拶を済ませましょう。

他の人には挨拶があったのに、自分に対しては挨拶がなかったなんてことがあると、その人とこれからも良好な関係を続けていくのは難しいかもしれませんので、できるだけ多くの人に挨拶した方が良いでしょう。 
 
【メールで挨拶をするときのポイント】

メールを送るタイミング
メールを送るタイミングは社内と社外で異なります。  

[社内]→その会社の慣例に従いましょう。分からない場合は最終出勤日の就業直前がいいでしょう。
 
[社外]→余裕を持って最終出勤日の2〜3週間前に送ります。

2〜3週間あれば、後任者との引き継ぎも余裕を持って行えます。また取引先としても、いきなり明日から担当が変わりますと言われるよりも、印象が良いでしょう。

念のため、これから担当する新しい担当者にも相談のうえ進めると良いでしょう。

メールの具体的な送り方
個別にメールを送るケースと、まとめて一切送信するケースに分けてみたいと思います。

[個別送信]
特にお世話になった人や所属部署の長などには、個別で送りましょう。その人とのエピソードなんかを交えた思い出話や感謝の気持ち、退職後の連絡先などを記すと良いでしょう。

[一斉送信]
一斉送信の場合は宛先をBCCにした方が良いでしょう。BCCであれば、誰にメールを送っていて、誰にメールを送っていないかが受取人には知られなくて済みます。

⑶メールの文章の具体例  
[社内向け挨拶メール(一斉送信)]

件名:退職のご挨拶【日本太郎】

〇〇営業所の日本太郎です。

この度、一身上の都合により〇〇月〇〇日を待って退職することとなり、本日が最終出勤日でした。

本来ならば直接ご挨拶に伺わなければならないところ、メールでのご挨拶となり申し訳ございません。

在職中は皆様に大変お世話になりました。皆様から多くの叱咤激励をいただきましたことで、本日までやって来れたものと思っております。

またご指導いただきましたことは、新しい職場でも活かしてまいりたいと思います。本当にありがとうございました。  

本日以降の私の連絡先は下記になります。

e-mail:×××@△△.ne.jp
携帯電話:090-1234-〇〇〇〇

最後になりましたが、皆様の更なるご活躍とご健勝をお祈り申し上げます。


ポイント
・件名は、一目見て退職の挨拶とわかるようにします。
・退職の理由は「一身上の都合」としておきます。
・退職後の連絡先は、書きたくなければ書かなくても良いと思います。


[社外向け挨拶メール]
退職するとはいえ、取引先と会社の関係は後任に引き継ぎますので、丁寧にご挨拶をしておかなければなりません。

本来は、新旧の両方の担当者が揃ってご挨拶に伺うべきでしたが、直接ご挨拶に伺えなかった場合は心を込めたメールを送りましょう。

件名:退職のご挨拶【〇〇運送 日本太郎】

△△商事株式会社
××様

いつも大変お世話になっております。
〇〇運送の日本太郎です。

私事で大変恐縮ではございますが、一身上の都合により〇〇月〇〇日を持ちまして〇〇運送を退職することとなりました。

××様にはご指導ご鞭撻をいただき、またお力添えもいただき大変感謝しております。

後任は◇◇が務めさせていただきます。後日◇◇がご挨拶にお伺いいたします。これまでと変わらずご指導いただきたく存じます。

本来であれば直接ご挨拶にお伺いしなければならないのですが、メールでのご挨拶となりましたことをお詫び申し上げます。

末筆ながら、御社のますますのご発展と××様の更なるご活躍を心よりお祈り申し上げます。


基本的には社内の一斉送信メールと同じですが、加えるとしたら下記の2点です。

ポイント
・後任者の氏名と、後日後任者がご挨拶に伺うことを書きます。
・退職後の連絡先は書かない。


4.有給休暇の消化


退職することが決まったら、有給休暇の消化についても検討しましょう。退職するうえに有給休暇までまとめて消化することに罪悪感を覚える必要はありません。

なぜなら労働基準法によれば、有給休暇を労働者に与えることは企業の義務であり、反対に労働者の権利だからです。 


労働基準法第39条
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。


ただ、気持ちよく有給休暇を消化できるように、段取りはしっかりとして、会社や上司の心情を悪くしないような工夫は必要だと思います。

では退職時に有給休暇を消化するための手順をご紹介します。

【退職の意思を上司に伝える時に話ができるように準備しておく】

自分の有給休暇があと何日残っているのかを確認する。
退職の意思を上司に伝える時に、希望として、ある程度のスケジュールを提示すると主導権が握られ、同時に退職の意思が固いことも伝わります。

そのためには自分の有給休暇があと何日残っているのかが分らないと、スケジュールが組めません。給与明細や社内イントラで認をしましょう。

就業規則を確認する
就業規則で会社のルールを確認しておきましょう。有給休暇を取得するには何日前までに申し出る必要があるといった、社内ルールが設けられている場合があります。 

残っている有給休暇の日数がどうしても分からない時
確認する方法として人事に問い合わせるというのがありますが、まだ上司に退職の意思を伝えていない段階なので、退職を考えていることがバレてしまいます。

そこで残る方法は、自分で計算するしかありません。勤続年数が経過するたびに、対応する日数の有給休暇が付与されます。

6年半以降は1年経過するごとに20日付与されます。また付与された有給休暇は2年経つと消えてしまいます。

以上のことから、例えば勤続年数が5年の人が昨年に5日だけ有給休暇を取得していた場合、16+14―5=25日の有給休暇が残っているということが分かります。

【上司に退職の意思とともに有給休暇の消化を申し出る。】

ここでとても重要なのは、引継ぎに必要な日数を十分に確保したうえで、有給休暇の取得を申し出るということです。

退職の意思を告げられた上司が心配するのは、後任探しや引き継ぎがしっかり行われるのか?ということだと思います。

有給休暇の消化を申し出るにしても、そのような重要事項への関心がないようでは、上司としてもおもしろくないはずです。

引き継ぎはしっかりと行う意思があることと、そのために必要な日数をスケジュールに組み込んであることを示さなければ納得してもらえません。

したがって、有給休暇は労働者の権利といえども、「〇〇月〇〇日から有給休暇を消化して〇〇日付で退職します。」というような一方的な宣言は避けましょう。

「××月××日までに引継ぎ資料を完成させ、〇〇日から◇◇日間引継ぎをして△△日から有給休暇の消化をさせていただきたいのですが…」というような形であれば、上司も納得すると思います。

【有給休暇の時季変更権について】

有給休暇を労働者に与えるのは企業の義務であると前述しました。企業は労働者から有給休暇の申請があった場合は拒絶することが許されず、拒絶した場合は、労働基準法に違反したことになり、6ヶ月以内の懲役または30万円以下の罰金刑となります。

しかし一方で、企業には「時季変更権」があります。労働者から有給休暇の申請があった場合に「その日に休まれると人が足りなくて会社が回らなくなるから、他の日に変えてもらえないか?」といった依頼ができることになっています。

ただ、退職時の有給休暇については、もう退職してしまうことから他の日に変更できないので、時季変更権は行使できないというのが通常です。

【有給休暇の消化を開始する。】

通常は残っている有給休暇は、後ろでまとめて消化します。例えば20日間の有給休暇が残っていた場合、最終出勤日の翌日から20営業日の有給休暇を消化して正式な退職となります。

最終出勤日の翌日からもう出社することはないのですが、有給休暇を消化している最中であるということは、まだその会社の社員であるということになります。

会社に迷惑をかけることのないように、プライベートにも気をつけて過ごしましょう。

5.退職


いよいよ退職です。ここまでご紹介させていただいた内容を実践されたのであれば、円満退職となる可能性が高いはずです。

最終出勤日の翌日から残っていた有給休暇の消化に入り、有給休暇も消化し切った日が正式な退職日です。

しっかりと円満退職となることで、気持ちよく新しい仕事のスタートが切れると思います。

円満退職を諦めるケースについて

円満退職を諦めるケースについて
ここまでご紹介した手順を踏んでも上手く行かないことはあります。

例えば、会社規定に反さずに3月末での退職を申し出たにもかかわらず、会社からは4月末までは働いて欲しいと回答された場合です。

それでは転職先の入社に間に合わなくなってしまうという状況であれば、会社規定に反していないことから、3月末の退職で押し切ってしまうのもひとつの方法です。

ただ、それによって円満退職とはならなくなるという可能性もありますが、円満退職によって得られるメリットと比較しても、決まっていた転職先を失うダメージの方がはるかに大きいことは明白です。

このような時は、円満退職は潔く諦めましょう。そもそも退職することの意味が無くなってしまっては本末転倒ですよね。

【関連ページ】 退職願・退職届の書き方と知っておきたい作法
この記事の執筆・監修
トラQ編集部 佐藤 哲津斗

運営会社、株式会社しごとウェブの代表。運送業界に貢献できるようにトラQを運営しています。
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